理学の道から情報通信部門の技術者へ
理工学部で物理を学んできた庭野さん。修士論文では生物物理をテーマとしていました。大学に残り研究を続けるのか、狭き門である企業の研究職を目指すのか…葛藤しながらの進路選択でしたが、最終的には、入社後の仕事のイメージをはっきり描きながら、現在の会社に就職しました。
社会インフラ関係の情報通信部門に所属する庭野さん。入社以来、同じ部門で活躍し続けています。
取り扱うシステムは、一度導入すると長く使っていただく性質のもの。クライアントとの関係性も長く続くため、部門内のメンバーの顔ぶれは変わらないのだそうです。
直属の上司から、庭野さんはいくつかの仕事を受け継ぎました。その中のひとつが、製品の企画・開発の推進者という立場。これが、PMとしての初仕事です。
これまで携わってきた短いスパンでの業務とは異なり、今回のプロジェクトでは3~4年先のロードマップが描かれており、更に長期化する可能性もあります。「先輩のように仕事ができるだろうか…。」庭野さんは手探り状態。試行錯誤の日々です。
現場技術も、マネジメントも、調整役も…試行錯誤のPM道、まい進中!
製品企画、開発マネジメント、チーム内・クライアント・上層部との調整…などなど、幅広い役割をこなさなければいけない立場。庭野さんは、あらゆる課題を感じています。
例えば、製品や設計に関する知識不足から、技術的な方針決定の際の今一歩が弱く、開発者に役立つコメントをできているかどうかということ。
また、マネジメントをする立場としては、「PMとしてのポリシーが確立できていない」と認識しており、会議では常に頭をフル回転させて対応していると言います。
リモートワークならではのコミュニケーションの難しさもあります。会議後に思い立ったちょっとした疑問点は、隣にいればすぐに解消できますが、リモートだとなかなかそうもいきません。また、チームメンバーが会議の場で困っていることを打ち明けられているだろうか…と心配もしています。
けれど、部門のメンバーは見知った顔。人間関係が出来ており、それぞれの性格やこだわりを把握しているからこそ、「今、何に苦労しているか?」など想像がつきやすいというメリットだってあります。
「自分の抱えているものも、オープンにしていきたいです」「問題点をなるべく具体的にして、困りごとを解消できるようにしていこうとしています」「プロジェクト以外での重複した関わりも多いので、そこでのコミュニケーションも取っていきます」…渦中にありながらもこれまでの関係性や知識を活かしてまい進する庭野さんの姿、とてもキラキラしています。
また、これまでチームメンバーとして関わってきたプロジェクトを振り返ります。
入社3年目頃のことでした。当時のリーダーが一人で全てを背負い、倒れそうになったと言います。さあどうする…と関係者を集めて振り返りを実施した際、庭野さんは自分なりにプロジェクトの進行方法の改善点を考えたり提案したりしました。チームメンバーと議論を進めた結果具体的には、会議目的や改善頻度をの見直し、現リーダーの他にリーダーを支えるサブリーダーを配置することになりました。
「技術のことがわからなかったからこそ、自分の視点で考え提案が出来たように思います」
このときの体験から得られたものは、自らがリーダーとなった現在にも活かされています。
今は、ワークもライフも大切!様々な学びを重ね、「知識×実務」のPMを目指して。
「実は今年、結婚したんです」
2021年、PMとしての道を歩み出した庭野さんですが、同時にもうひとつ大きなターニングポイントを迎えていたのです。
仕事でわからなかったことは土日に調べ、次の週を迎える。仕事以外での学びも大切にしており、JWEFでの活動に参加する。そんな独身時のデフォルトは通用せず、生活スタイルはがらりと変わりました。
学びを自信に変えてきた庭野さんにとって、これは一大事!「自分の納得いくようにやれず、どれも中途半端だ」と悩みました。
上司から「これまでワークに全力投球していた努力が、ライフの方に分散しているだけだよ」とことばをかけられたことをきっかけに心が軽くなり、現状を受け止めながら最適なバランスを探るようシフトしていきました。
「夫との会話を大切にしたいなと考え、週末は一緒に過ごしています」今は土日の学びをお休みし、新しい生活の場を育んでいるところです。
そして、新たな学び方として、有給休暇を利用しての社外セミナーに参加することで、更なるレベルアップを図っています。
「知識と実務の掛け合わせで、役に立てるPMになりたい!」
そのために、場数を踏むことはもちろん、現場技術も、マネジメントも、調整役としての振舞いも…様々な学びを重ねることで、もっと自信をつけていきたいと話す、庭野さんです。
ライター:みねせりか グラフィックレコーディング:岸智子 インタビュアー:浦田有佳里