

開発領域から幅を広げ、徐々にマネジメントの分野へ

情報系の大学でシステム開発の基礎を修得した久保さんは2013年、新卒で日立INSソフトウェア(現・日立社会情報サービス)へ入社。ビッグデータ分析に注目が集まる時代で、データ分析システムやBIツールを用いたソリューション開発に携わることになりました。
入社して数年は、分析画面を制作するコーディングなどプレイヤーとしての仕事が中心でしたが、大規模プロジェクトでのサブリーダーやオフショアチームの取りまとめを任されるようになり、次第にマネジメントの分野に関心を抱くようになったそう。
そしてある日、転機が訪れます。2024年、官公庁向けシステム開発のPMO(Project Management Office)チームが立ち上がり、リーダーに抜擢。未知の領域です。最初は手探りで挑んでいましたが、独学ではなくしっかりと体系的にプロジェクトマネジメントを学ぼうと一念発起。PMP®の取得を決意し、試験に合格しました。

従来の組織文化に、新しい風を

現在は100人規模の官公庁向けプロジェクトを複数並行で担当。品質管理、標準化、コミュニケーション設計など、部署横断的に幅広く取り組んでいます。PMが多忙な分、PM補佐やメンバーと連携しながら進め方を模索する場面も多々あると言います。
「たとえばアジャイル開発など確立した手法やベストプラクティスを学んだことで、取り入れやすいエッセンスをいいとこ取りしながら、現場に適用していきました。」
ウォーターフォール型に慣れたチームメンバーだったため、最初は新しい手法にメンバーも困惑気味だったようでした。しかし、久保さんが持ち込んだ新しい風はチームにとって新鮮でした。
振り返り会を設けるなどアジャイル的な“チームで考える文化”を取り入れ、メンバーの主体性を育みながら、現在は従来のウォーターフォールとハイブリッドで活用しながプロジェクトに臨んでいます。

オン・オフでリフレッシュしながら自己研鑽にも励む日々

多忙な毎日のなか、久保さんが大切にしているのは心を整える時間です。
「社会人になってから始めた生け花は、4年ほど続けています。展覧会にも出展しますが、自分と向き合う時間を持てることが大事なのかもしれません。」
もうひとつのリフレッシュ方法は、気ままな散歩。日によっては2時間ほどかけて歩き通すこともあり、自ずと頭はスッキリ爽やか。仕事の思考整理、そして感覚を大切にできる生け花や散歩は、久保さんにとってまさに心を整えるかけがえのない時間となっています。
業務外ではPMI日本支部の女性コミュニティに参加。社外の多様なキャリアにふれる交流の機会から、日々刺激を受けています。自身でも書籍を熟読したり、セミナーに参加したりして研鑽を怠りません。
「心理的安全性の高いチームづくりを目指していきたいです。どんなプロジェクトにも誠実と向き合い、ステークホルダーとの信頼関係を構築していくことが目標です。」
若きPMOリーダーの新しい挑戦や飽くなきスキルアップによって、プロジェクト全体は静かに加速を進めていくでしょう。
ライター:安藤未来 グラフィックレコーディング:岸智子 インタビュアー:小川原 陽子、浦田有佳里


