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紙の三角形
中村亜子さん

プロジェクトマネジメントで人生を心地よく。メーカーから人材育成業界、そして福祉の未来を見据えて

中村亜子さん

株式会社パーソル総合研究所 ラーニング事業本部 シニアコンサルタント
PMI日本支部 理事・副会長

メーカーでの勤務や海外生活を経て現職。プロジェクトマネジメントとの出会いは偶然でした。現在は、人材育成業界の立場からプロジェクトマネジメントの推進に注力しています。趣味はバスケットボール、大相撲、Jリーグなどのスポーツ観戦と仏像鑑賞。

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好奇心と行動力で歩んできたグローバルキャリア

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「振り返ると、プロジェクトマネジメントに関わる自分なんて想像もつきませんでした」と語る中村さん。現在はPMI日本支部の副会長兼理事を務めています。

新卒で入社した大手総合電機メーカーで順調なキャリアを歩んでいた中村さんは、国内外問わず管理部門と技術部門の橋渡しや技術研修企画・運営業務等を担っていました。しかし次第に海外への憧れを抱くようになり、20代後半で会社を退職して単身オーストラリアへ。

1年間のインターンシップで異文化を肌で感じた後、帰国して中堅企業の役員秘書へキャリアチェンジ。会社経営を間近で見てみたいという好奇心から選んだ転職先でした。出張生活を2年ほど続けたのち、本腰を入れて事業に当たるため香港支社に転籍。アジア各国の拠点を飛び回る日々を送りました。

特に印象的だったのは、海外で活躍する女性たちの姿です。「香港やシンガポール、中国では、総経理や財務マネージャーなど重要なポジションには必ず女性が就いていて、性別に関係なくフラットにリスペクトされていました。日本の中小企業ではまだ実現できていない光景でしたね」。

一方で、女性単身の海外赴任は決して楽なものではありませんでした。中国本土では英語がほとんど通じず、中国語を独学で習得。1人で出張に出かけ、時には危険な目に遭うこともあったそう。しかし、そんな経験も今では大きな財産。「動機次第で、学ぶことは全く苦になりませんでした」と笑顔で語ります。

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「やってきたことはプロジェクトマネジメントだったんだ」。ひとつの線でつながった、これまでのキャリア

中村さんがプロジェクトマネジメントと本格的に出会ったのは、意外にも30代半ば。転機は、パーソル総合研究所(当時は富士ゼロックス総合教育研究所)に派遣として入社し、PMP®資格申請のサポート業務を担当した経験です。

PMBOK®を初めて見たとき、「小難しいことを言っているな」と感じたそう。しかし紐解いてみると、新卒で入社したメーカーでの仕事、香港での数々のプロジェクトなど、これまでやってきたこと=プロジェクトマネジメントだったと気付きます。

「ものづくり業界でキャリアを積んできたので、最初は『人材育成』という目には見えないソリューションに戸惑いました」と振り返る中村さん。しかしプロジェクトマネジメントの考え方を学んだことで自分の経験が全てつながり、人材育成領域の仕事にも意義を見出せるようになりました。

現在は、プロジェクトマネジメントやビジネスアナリシスの領域のシニアコンサルタントとして、研修コンテンツの開発や人材育成、組織開発コンサルテーション業務に尽力しています。

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プロジェクトマネジメントを、すべての人の「生きる力」に

プロジェクトマネジ��メントを、すべての人の「生きる力」に

そして今、視線を向けているのが福祉の領域です。週末には知的障害のある人の活動支援や高齢者への弁当配達などのボランティアに参加し、現場でPMの可能性を模索しています。

「プロジェクトマネジメントは福祉の現場にも応用できるはずです。たとえば困難な状況にある女性たちにもプロジェクトマネジメントの考え方を知ってもらうだけで、働きやすくなり、生きやすくなるんじゃないかと思うんです」。

一方で、PMI日本支部の副会長としても惜しみなく力を注いでいます。現在の女性コミュニティの前身となる組織の立ち上げにもリーダーとして関わり、人材育成の立場からもナレッジを共有するなど精力的に活動しています。

「プロジェクトマネジメントはIT業界のものという空気がいまだにありますが、それだけにとどめておくのはもったいない。 IT系PMではないからこそ、私の立場でプロジェクトマネジメントの可能性を広げ、アウトリーチしたいんです。プロジェクトマネジメントを知ること、学んで実践することで、仕事も人生も心地よく過ごせるようになる。それを多くの人に伝えていきたい」。

中村さんが大切にしているメッセージは、「プロジェクトマネジメントを使って、賢く生きよう」。理想は、週の半分は福祉関連の活動、半分はコンサルタントの仕事という、プライベートと仕事が融合した働き方だと教えてくれました。人生100年時代を謳歌するための最高のツールだと未来を見据える中村さん。プロジェクトマネジメントというひとつの強みがもっと認知され、あらゆる業界で当たり前になる日は近いのかもしれません。

ライター:安藤未来 グラフィックレコーディング:岸智子 インタビュアー:小川原陽子、小境彩子

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